竹と笹の違いは葉脈や幹に当たる部分の稈(かん)から判断する必要があります。
そのため、背丈の違いだけで判断はできないのです。
一般的に背丈が大きいものが「竹」、背丈の低いものが「笹」と思っている人も多いのではないでしょうか。
わたしもそう思っていた一人で、ずっと勘違いしていました。
しかし調査をしてみると「竹」と「笹」には明確な違いがあったのです!
さらに名前に「~タケ」と入っているのに「笹」だったり、その逆もあるというまぎらわしい品種であることも分かりました。
一方でどちらもタケノコが生長して大きくなるという共通点もあるのです。
日本人にとって身近な自然素材でもある双方について、違いや共通点など詳しく解説します。
「竹」と「笹」の違いを知れば、あなたもちょっとした雑学博士になれますよ♪
竹と笹の違いは葉脈や幹など特徴から判断!
竹と笹の違いは葉脈や幹に当たる部分の稈(かん)から判断しなければなりません。
竹は葉脈が格子状なのに対し笹は平行で、幹に当たる部分の稈(かん)と呼ばれるところから出る枝の数の違いも、両者を見極めるときに役立ちます。
イネ科タケ亜科に属する植物である竹と笹は、どちらも「草」にも「木」にも属さず、「竹笹類(たけささるい)」というグループに分けられるのも特徴と言えるでしょう。
竹や笹は七夕で願い事を飾る笹の葉や、お正月に飾る門松など、日本の行事にも登場しますね。
竹であれば子どもが遊ぶ竹とんぼや竹馬、また竹刀なども思い浮かびます。
笹は七夕の笹飾りだけでなく、ちまきや笹の葉寿司など、食材と一緒に使うイメージですね♪
こうして改めて考えてみると、竹も笹もいろいろな使い方がされてきた歴史があり、日本人には馴染深いものだなと感じます。
わたしは小さい頃笹舟を作って遊んだ記憶がありますが、わたしの子どもはそういった遊びを知りません。
子どもにはあまり馴染みがなく、絵本を読むときや図鑑などで見る程度なので少し寂しい気持ちもありますね。
竹や笹の特徴を知って、それぞれの違いや共通点などを子どもたちに伝える良い機会かもしれません。
これを機に子どもにも興味を持ってもらえたら、親子で笹舟を作るなど懐かしい遊びで盛り上がれそうです♪
葉の葉脈を見れば一目瞭然!違いや共通点を解説
竹と笹の違いは葉の葉脈を見れば一目瞭然です。
竹は生長すると皮が全て落ちて、笹は生長しても皮が落ちずに残るという大きな特徴があります。
この場合の皮はタケノコの皮の部分のことです。
上記写真は竹ですが、根元に皮が残っていませんね。
その他にも違いはありますが、共通点もいくつかあります。
しかし違いが分かりにくい品種もあり、区別するのが難しいのも双方の特徴です。
ここではそれぞれの違いや共通点、まぎらわしい品種について解説します。
竹と笹の違いは生息地も関係してくる
竹と笹の違いは葉脈や枝の数だけでなく、生息地にも関係があります。
次に竹と笹の違いを下記の表にまとめてみました。
竹 | 笹 | |
葉脈 | 格子状 | 平行 |
枝の数 | 1つの節から2本出ている | 1つの節から3本出ている |
稈(かん) | 生長後、皮が落ちる | 生長後、皮は残ったまま |
生息地 | 温暖・湿潤な環境で育つ | 寒冷地や高地でも育つ |
花 | 種類による(薄緑色・濃緑色・茶色・紫色など) 数十年~数百年の周期で咲く | 種類による(緑色・淡いピンク色など) 数十年の周期で咲く |
背丈 | 約15m以上のものが多い | 1~2m程度のものが多い |
竹は寒冷地では育たないのに対し、笹は寒冷地でも育つのですね。
ちなみに上記の画像は、家の近所にある小さな竹藪の写真です。
確かに1つの節から枝が2本出ているので、はっきり竹だと判断できますね。
また竹も笹も開花するのが数十年周期という事実に驚きました!
真竹(マダケ)と淡竹(ハチク)は120年周期での開花と言われているので、もしも花を見られたらとても幸運ですね。
竹と笹の共通点はどちらもタケノコから生長する
竹と笹の共通点は、どちらもタケノコから生長するという点です。
以下の3つが、それぞれの主な共通点になります。
- どちらもタケノコから生長していく
- 1年中緑が鮮やかで枯れない
- 水揚げが難しい
どちらもタケノコから生長するという点が、竹と笹をまぎらわしくさせる原因の一つに感じます。
つまりタケノコにはたくさんの種類があるということですね!
わたしはタケノコ好きですが、品種の多さに驚きました。
また年中鮮やかな葉をつけ枯れないという共通点は、竹と笹の生命力の強さを感じます。
ちなみに、調査をしていくと「笹」を表現する英単語はありませんでした。
笹は決まったスペルがないので「sasa」と表記するそうです。
これは海外の人が竹と笹を同じ植物のひとつと考えているからだと考えられます。
<英語表記>
- 竹 → 「bamboo」
- 笹 → 「sasa」
竹と笹の違いや共通点には意外な発見がたくさんありました!
メゴ笹や矢竹などまぎらわしい品種をご紹介
メゴ笹や矢竹(ヤダケ)など、竹と笹にはまぎらわしい品種が存在します。
竹という品種なのに「~ササ」という名前があったり、笹という品種なのに「~タケ」といった名前がついていたりするのです。
品種と違う名前がついているとは珍しいですよね。
なぜまぎらわしい名前がついているのかは調べても分かりませんでしたが、3つ事例を挙げてご紹介します。
- メゴ笹 → 竹
- 矢竹(ヤダケ) → 笹
- 女竹(メダケ) → 笹
上記の品種は全て名前とは逆の品種なので、メゴ笹は竹の仲間、矢竹(ヤダケ)と女竹(メダケ)は笹の仲間です。
メゴ笹は「オカメザサ」や「カグラザサ」とも呼ばれる品種で、全長は1m~2mと背丈が小さいのが特徴になります。
一方、矢竹(ヤダケ)と女竹(メダケ)は4mかそれ以上の背丈があるようです。
メゴ笹は背丈が小さく、矢竹(ヤダケ)・女竹(メダケ)は背丈が高いためにこうした名前がつけられたのかもしれませんね。
ちなみに矢竹(ヤダケ)はその名の通り、古くは弓矢に使われてきた歴史があり、今でも釣り竿や筆軸として利用されています。
女竹(メダケ)は竹細工や農業用の資材、メゴ笹も籠など利用方法がさまざまです。
まぎらわしい品種である一方で、古くから身近にある自然素材として、日本人の生活に欠かせないものなのですね。
パンダが食べているのは笹ではなく竹
パンダが普段食べているものは、笹ではなく竹になります。
孟宗竹(モウソウチク)という種類が一般的で、スーパーに並んでいるタケノコの多くはこの品種です。
パンダが食事をしている姿や眠っている姿は、愛らしくて癒されますよね。
我が家はみんなパンダ好きなので、子どもを連れて何度もパンダを見に行きます。
パンダは1日あたり、およそ20kg~30kgの竹を食べると言われています。
大きい身体なので納得ですが、それにしても大量ですね。
食べている姿があまりにかわいいので、わたしは他の場所には目もくれず、ついパンダがいる場所に長居してしまいます♪
パンダは中国山岳地帯の奥地に生息していますが、冬でも枯れない竹を餌にして天敵からの生存競争を避けてきた動物です。
1年を通して豊富に得られる竹は、パンダにとって欠かせない食べ物なのね。
ちなみにパンダは竹以外のものでも食べられるため、草食動物ではなく「食肉目クマ科」に分類される雑食動物です。
意外に思われるかもしれませんが、動物園などで飼育されているパンダはりんごやサツマイモなども食べた例もあるそうですよ。
竹以外を食べるパンダもぜひ見てみたいですね。
七夕に使うものは竹と笹のどちらでもよい
七夕の飾りは竹でも笹でもどちらも使われるため、決まりはありません。
七夕の飾りは「笹飾り」と言われていますが、竹を使うこともあります。
毎年七夕の季節になると、わたしの子どもが通っていた保育園では園児一人一人に先生が笹を配ってくれていました。
笹飾りは願いを書く短冊はじめ、輪飾りや吹き流し、スイカやくずかごなど飾りがたくさんあって華やかですよね。
願い事を書いて家に飾り、七夕が過ぎると保育園へ持っていきます。
そして飾り付けた笹を園児が見守る中、燃やすというイベントが行われていました。
なぜ燃やすのかと先生に伺ったところ、笹と短冊を一緒に燃やすと煙になって天まで届き、その願いを神様が叶えてくれるからですよ、とおっしゃっていたのを覚えています。
燃やすと天まで届いて神様が願いを叶えてくれるとは、素敵な理由ですね♪
七夕はかつて中国から伝わった風習ですが、日本各地で行われる七夕の行事には、地域で異なる風習や意味合いがあるようです。
例えば川に流すと海に出て天の川に辿り着くと言われていたことから、川に流す地域もあったといいます。
時代や地域によってさまざまな七夕イベントが行われてきたのですね。
今後七夕の季節が来て笹飾りを見ると、竹を使っているのか笹を使っているのか確かめるのが楽しみです♪
竹笹駆除をする理由は生長の早さと丈夫さにある
竹笹駆除をする理由は、生長の早さと丈夫さにあります。
みなさんは竹や笹が厄介者と言われる場合があるのをご存じでしょうか。
隣地の竹林から侵入してくる竹は絶やすのが非常に難しいです。一般には、侵入した地上の竹だけ を伐る方法が行われますが、伐っても伐っても毎年タケノコが生え続け、 そしてついには、人間が竹に根負けしてしまいます。これは、地下茎が竹 林と繋がっていて、栄養が供給されるため、枯れずにさらに生長するため です。(後略)
静岡県袋井市:竹林整備読本
伐っても伐ってもタケノコが生え続けて人間が竹に根負けしてしまうとは、竹の生命力の強さに驚きますね。
また昨今、日本各地では竹林放置の問題が起こっていて深刻さを増しているようです。
わたしは以前不動産で働いていましたが、同じ部署の営業の人から「竹は厄介者で困る」という話を聞いたことがあります。
理由を尋ねると、竹の生息している場所に家などを建てる場合、元からしっかり切っておかないとコンクリートも突き破る強さと繁殖力があるので厄介だと言っていました。
それを根本的に解決するには費用も増大し、家を建てたくても建てられない状況も出てくると教えてもらったのです。
また友人の家の傍には竹藪が生い茂っているようで、「竹の生長が早くて雨や台風のときは怖い」と不安がっていました。
こういった事例を聞くと確かに竹や笹は駆除の対象になるというのも納得ですね。
厄介者だけじゃない!救世主にもなれる竹
厄介者とも言われる竹ですが、実は救世主になり得る自然素材でもあるのです。
林野庁による竹の利活用推進に向けての報告書によると、新たな活用を考える取組がされていました。
(前略)食用利用については、新しい竹林の産物利用の一つとして、現在ほとんどが輸入に頼っているメンマの代替品として、収穫時期が過ぎた伸びたたけのこを利用する取組がある。1m程度に伸びたたけのこであっても採取して塩漬け・発酵させることでメンマ風の食品を作ることができる。(後略)
林野庁:「竹の利活用推進に向けて」報告書(平成30年10月作成)
食材として活用するための方法を考えるなど、放置するだけでなく新たな解決策を見出だそうとしている取り組みもあるのですね。
ちなみにメンマは麻筍(マチク)と呼ばれるタケノコです。
メンマがタケノコとは知りませんでした!
わたしはおみやげ屋さんや雑貨屋さんなどで、竹で作ったタンブラーやくし、アクセサリーが置いてあるのを見かけたことがあります。
最近では美しい竹灯籠などもあり、アートの世界でも利用価値が増していますね。
竹や笹は駆除が必要なほど厄介と思われている場合もあるようですが、昔ながらの竹とんぼやざるかご意外にも、利用方法は今後たくさん出てきそうです。
そういったものが今後ますます増えれば、新たな使い道が見出だせその価値も上がりますね。
竹は再生エネルギーとしての将来も見込める
近年では竹類をエネルギーとして使用する動きがあり、将来的に再生エネルギーとしての活躍も見込めます。
(前略)このたび、竹類からカリウムと塩素を溶出させることで発電用木質バイオマス燃料と同等の品質に改質する技術を開発しました。(中略)本技術は、従来バイオ燃料には不向きとされていた竹類を有効なエネルギー源とするとともに、持続可能なバイオマス再生循環システムの確立につながるものです。(後略)
株式会社 日立製作所
こうしたシステムが確立できれば、放置されている放置竹林の問題も解決に繋がる一歩となります。
竹笹駆除の問題が一気に解消され、竹や笹が豊富なエネルギー源として使用される日が来るといいですね。
今後の竹の活用方法にますます期待が高まります♪
まとめ
- 竹と笹の違いは葉脈や幹にあたる稈(かん)から出る枝の数にある
- 竹と笹は「草」にも「木」にも属さず、「竹笹類(たけささるい)」に分けられる
- 温暖で湿潤な環境で育つのが竹、寒冷地や高地でも育つのが笹
- 共通点は双方ともタケノコから生長し、一年中緑の葉をつけ枯れないこと
- メゴ笹や矢竹(ヤダケ)など、名称が品種と異なるまぎらわしいものがある
- パンダが食べているのは笹ではなく竹
- 七夕に使う飾りは竹でも笹でもどちらでもよい
- 竹や笹の駆除問題は、生長の早さと丈夫さにある
- 竹は厄介者だけではなく、食材や再生エネルギーなど利用価値のある自然素材でもある
竹や笹の違いを調査した結果、見分け方やタケノコから生長するなどの共通点、まぎらわしい品種が存在するなど意外な発見がたくさんありました。
今後は竹と笹の違いを聞かれたら、迷うことなく見分け方を説明できますね♪